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人生の終盤を迎えるにあたり、「自分の財産をどう分けるか」「誰に何を託すか」を明確にしておきたい。
その想いをかたちにできるのが 遺言書 です。
一方で、「遺言に書けば何でも実現できる」と思っている方も多いかもしれません。
実は、遺言書にはできること・できないことがあり、その違いを理解しておくことが大切です。
遺言書とは?
遺言書とは、自分の死後に財産や権利関係をどう扱うかを示す法的な書面 です。
民法に基づいて作成されるもので、正しい形式で書かれていれば、法的な効力が生じます。
つまり、遺言書は単なる「希望のメモ」ではなく、法的に家族や関係者を拘束する正式な文書 です。
遺言書でできること
1. 財産の分け方を決める
もっとも一般的なのが、誰に何を相続させるかを指定することです。
「長男に自宅を」「長女に預金を」といった具体的な指定をすることで、相続争いを防ぐことができます。
2. 遺贈(いぞう)を行う
遺言を通じて、相続人以外の人や団体に財産を渡すこともできます。
これを「遺贈」といいます。
たとえば、「子どもの支援活動を行う公益法人に寄付する」など、社会貢献の意思を形にすることも可能です。
3. 相続人の指定・排除
特定の人を相続人から外したり、代わりに別の人を指定することもできます。
ただし、法定相続分や遺留分(最低限の取り分) には注意が必要です。
4. 遺言執行者の指定
遺言の内容を実際に実行してくれる人(専門家や信頼できる第三者)を指名できます。
これにより、遺言内容が確実に実現される仕組みを整えられます。
5. 未成年の子の後見人を指定
もし未成年の子がいる場合は、その子の後見人を指定することも可能です。
遺言で後見人を定めておくことで、安心して将来を託せます。
遺言書でできないこと
1. 法律に反する内容
遺言であっても、法律に違反する内容は無効になります。
たとえば、「特定の相続人の遺留分を一切認めない」といった指定は法律で守られません。
2. 感情的な要求・命令
「息子は必ず同居すること」「娘は結婚しないこと」など、個人の自由を制限するような内容は法的効力を持ちません。
ただし、「希望」として書くことは可能です。
正しい遺言書を作るためのポイント
1. 形式を守る
遺言書にはいくつかの種類があります。
- 自筆証書遺言:自分で全文を手書き(近年は法務局で保管可能)
- 公正証書遺言:公証人が作成(最も確実で安全)
- 秘密証書遺言:内容を秘密にして公証役場に預ける
法律で定められた形式を守らないと、せっかくの遺言が無効になることもあります。
2. 専門家に相談する
司法書士・行政書士・弁護士など、相続に詳しい専門家に相談すれば、文面の作成から保管、遺言執行までトータルにサポートを受けられます。
想いを正しく伝えるために
遺言書は、単に「財産を分けるための書類」ではありません。
ご自身の人生の締めくくりとして、感謝の気持ちや未来への想いを伝える手段 でもあります。
「家族を思う心」や「社会への恩返しの意志」を言葉にすることで、遺言書は"温かいメッセージ"に変わります。